小児の救急疾患(家庭での対処と処置)

小児科主任医長  小須田 貴史

 夜間、休日に子供が急に熱を出した!こんな時にも、落ち着いて子供の状態をみれば大丈夫な場合が多々あります。おもな症状に対して自宅でできることを紹介します。

、発 熱
 体温と全身状態の観察(体温グラフをつける)。湯冷まし、お茶、イオン飲料などの水分補給を行う。熱いところはアイスノンや冷却湿布で冷やす。手足が冷たくなりガタガタして寒がる時(悪寒)は、着るものや布団を1枚多くするなどで保温する。食事は消化の良いお粥やうどんなどを与える。 イラスト1
解熱剤は病気の原因を治す薬ではなく無理に熱を下げる必要はないが、食欲がなくてつらそうであれば使用してもよい。

、咳が出る・息が苦しい
 咳が激しい時は部屋を加湿する。横に寝ると苦しい時は、上体を起こして何かにもたれかかる姿勢にする。食事がとれない時も水分だけは飲ませる。同居者は禁煙!

3、嘔吐・下痢
 吐き気が強い時は飲食により嘔吐するので、1〜2時間は飲ませない。嘔吐の間隔が開いたら、湯冷まし、お茶、薄めのイオン飲料を、少しずつ回数を多めに与える。吐いた物を肺に吸い込まないように、寝ている時は体や顔を横に向ける。
イラスト2  下痢がひどい時は脱水症状になりやすいので、水分は十分与える。食事は便の状態をみながら少しずつ、できるだけ加熱調理したお粥、うどん、トーストなどから与える。柑橘類(みかん、グレープフルーツなど)、乳製品、糖分の高いもの、便に消化されずに排泄されるもの(ニンジン、海藻類など)は避ける。手洗いを良くする。

4、おなかが痛い
 トイレにいって排便させてみる。腹痛が軽い時は水分を少しずつ飲ませて様子をみる。「の」の字を描くようにやさしくマッサージをしてみる。おなかに炎症(虫垂炎など)がある時には炎症を悪化させるので、おなかを暖め過ぎないようにする。

5、けいれん(ひきつけ)を起こした
 目の位置、手足の様子、けいれんの持続時間を見ておく。平らなところに寝かせ、衣服をゆるめる。嘔吐した場合には、吐物を吸い込んで窒息しないように顔を横に向ける。窒息の危険性があるので口の中に物や指は入れない(舌をかんでも大量出血はしない)。ゆすったり、たたいたりしない。飲み物や飲み薬をすぐに与えない。

!!早めに外来を受診した方がいい時!!
・生後3ヶ月未満の38度以上の発熱。水分を受けつけない。
・初めて痙攣を起こした。意識がぼんやりして、起こしてもすぐに眠ってしまう。
・肩で息をする、胸がペコペコするなどの呼吸困難症状がある。
・顔色や唇の色が青い。犬の遠吠えや、オットセイの鳴き声のような咳き込み

 がある。頻回の嘔吐・下痢。吐物に血液や胆汁(緑色)が混ざる。
・強い頭痛や、強く頭を打ったあとに吐く。便の色が白っぽい・黒っぽい。
・便に血液が混ざる。赤ちゃんが足をちぢめていて泣きやまない。間隔をおいて

 また泣く。・・・など

 診療は医師以外にも検査技師、薬剤師、看護師など多くのスタッフがかかわっています。「早めに外来を受診した方がいい」に当てはまらない時は、スタッフがそろっている通常診療時間に受診するのが最適です。

2006年夏 34号 広報掲載






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