皮膚科主任医長 渡辺剛一 |
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21世紀に入り皆さんいかがお過ごしでしょうか。毎日の天気予報にあすの紫外線情報が出ています。紫外線対策はしているでしょうか。直射日光は避けるという原則で、天気のよい日に屋外に出るときは帽子をかぶる、日傘をさす、手袋をはめる。スポーツ、ハイキング、旅行等の長時間の外出時は露出部に紫外線よけの化粧品をつけるなどの実行をしてください。 特に晴れの日の朝10時から午後2時までは紫外線が強いのでできれば外出をさける。帽子はつばの大きさが15cm以上の大きい麦わら帽のようなもの、日傘は厚手の黒もしくは紫外線防護用の傘、紫外線よけの化粧品は馬鹿殿の白塗りの様に厚くぬり2〜3時間おきに塗りなおすなどをしてください。よくつばの狭い帽子で、レースの日傘、薄く化粧をしている人がいますが、これは女優のオードリ・ペップバーンなどの高貴な人のファッションで、室内用です。群馬県で1時間屋外を歩く人は少数ですが、1時間以上自動車に乗る人は大勢います。自動車に乗ると、窓ガラス越しに直射日光が顔にあたります。特に朝、富岡方面から前橋方面へ通勤するとフロントガラス越しに顔に朝日があたり。夕は夕日が顔にあたります。自動車に乗って出かける時は十分に注意してください。 天気の良い日の午前10時から午後2時頃までスポーツなどの野外活動のときは厚めに紫外線よけを塗って、2〜3時間おきに塗りなおしてください。 今、野球、オリンピック競技の水泳、多くの公式スポーツは屋根つきのドームでしています。野球選手が帽子、手袋、アンダーシャツをつけ、目の下にアパッチの様な反射光防止の墨をつけ、ドーム球場で公式戦を行う。これが21世紀のスポーツのあるべき姿です。天気の良い日に屋外で日にあたり、薄着のスポーツウェアでスポーツをする。これは20世紀の遺物です。 いや20世紀も、1960年代までは人間はずっと紫外線を避けていました。農作業時の麦わら帽、虚無僧の顔を覆う笠、木枯らし紋次郎の手甲脚反三度笠、小野の小町の旅姿、大きい笠にたらした布、オードリ・ヘップバーンかシルクレディのファッション、チャップリンのかんかん帽等、時代、国を超え正式なファッションは日光から皮膚を守る事が基本でした。 20世紀後半に肌を日にさらしたことはオゾン層の破壊とともに人の皮膚の表皮層の破壊を進行させました。紫外線は肌の老化の進行と発がん性のリスクが増します。 |
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2005年夏 30号 広報掲載 |