ACLSインストラクター  看護師 都丸 千景

  医療従事者は、日常業務の中でしばしば心肺蘇生を必要とする患者に遭遇します。急性心筋梗塞や脳血管障害、消化管出血など、心肺停止を来たす疾患はさまざまですが、医療従事者はこうした患者に遭遇したとき、冷静に対応して適切な処置を行わなければなりません。心肺蘇生法は従来、器材や薬物を用いない1次救命処置と器材と薬剤を使用する2次救命処置(Advanced CardiovascularLife Support;ACLS)に分けられてきました。しかし、近年、欧米では心停止の病態として心室細動の割合が高いことから、それに対する唯一の治療手段である除細動を早期に実施することを目的に除細動を1次救命処置に含め、一般人も実施可能な救急医療体制の設備が図られています。
 一方、わが国では一般人による除細動実施は検討中でありますが、一足先に旅客機の客室乗務員による半自動式の除細動器の使用が許可された段階です。発生場所がどこであれ、心停止・呼吸停止の救命には目撃者が1次救命処置を実施し、できるだけ速やかに2次救命処置を行うことが必須となります。
  一連の救命処置法を広く普及させるために、アメリカ心臓協会が実施している学習プログラムをACLSコースといいます。このコースは、講義も含まれますが、ダミー人形を使用した気道確保・電気的除細動の実習・不整脈診断に基づいたメガコート(体験学習的シュミレーション)など、実際に体を使うシュミレーションが中心であり、合理的で、教育効果が高いといわれています。米国では多くの州で臨床の医療関係者(医師、看護師、救急隊員)は2〜3年毎にACLSコースの再受講が義務づけられています。日本でのACLSのコースは、全国にあり多々開催されていますが、どの施設のコースも人気があり受講することが困難な状況のようです。
  私が受講しインストラクターの資格を取得したコースは山梨医科大学病院が主催するコースです。当院には医師、看護師を含めインストラクターはまだ3名のみです。
インストラクターとして行っていることは、山梨ACLSが主催
するプロバイダーコース(インストラクター前のコース)へ参加し、自らの復習を兼ねながら受講者が楽しく学ぶことができるお手伝い、また、インストラクターコースではプロバイダーコースで学んだことを他の医療従事者へ普及ができるような指導方法の指導を行っています。
  当院でも毎月のようにミニコース(1日コース)を主催し、ダミー人形を用い訓練しています。昨年より開催している当院のミニコースに参加していだだいた受講者数は、医師、看護師、臨床工学士、放射線技師等合わせて50人を越えています。全スタッフが系統的な訓練を行うことにより院内心停止時など、緊急時の対応が速やかにできると考えます。また、院外での心肺停止もあることより自宅から病院と連携した蘇生が行えるよう、一般市民の方へも広めていけたらと思います。
  当院においてもACLSトレーニングコースがさらに普及し、すべての医療関係者は標準化された心肺蘇生法の知識と確実な手技を正確に習得しておくことが必要と考えます。






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