トピックス 「医療安全管理対策について」



医療安全管理対策について
  
リスクマネジャー  青木 孝子

 医療事故の報道が、ほぼ毎日といってよいほどテレビやラジオから流れてくる。医療に携わるものにとって、他人事とは思えない報道に、自分の周囲の医療状況と照らし合わせ1人で考えたり職場で検討したりという昨今ではないだろうか。どうしてこのように事故の報道が増えたのだろうか。急に事故が増えたのだろうか。
従前の医療の考え方は「医療は安全でなくてはならないもの」「安全であるはずのもの」という考えが長い間、基にあったのではないか。今日まで医療界は安全であるべき医療が実は必ずしも安全でないと世の中に言えないできた。
航空界のように飛行機の墜落により1度に多くの犠牲者がでれば包み隠すわけにはいかない。しかし、医療事故の多くは一人一人の患者に起こり、病気を治療中の病院という密室で起こった。高度経済成長に伴い今、国民全体(患者・家族)の命や健康に対する価値観の高揚や、医療の高度化による危険を伴う手術・検査・処置・薬剤の増加、医療に対する期待の増加などから国民の目がこれまで以上に医療や健康に向けられてきたことが、事故報道増加の一因と考えられる。
 そのような背景の中で、国民の衆目を集める大きな事故の報道があり(1999年)医療界にも「人はエラーを起こすもの」という考え方が急速に浸透してきた。航空界をはじめとする他の業界では数十年前から、リスクマネジメントが言われ、人・設備・環境・管理の改善や対策が立てられてきた。(リスクマネジメント=何か物事を実行する際に考えうるあらゆるリスクを考慮しそれをいかにして避けるかを考えること)遅ればせながら医療界も必ず起こるはずの「人のエラー」を前提にしたシステムづくりや改善が叫ばれてきたのが現状である。
当院では、以前から患者中心の医療という病院の理念の下に患者の立場に立って考え問題解決の道を講じてきた。また2000.4.1からは医療事故予防対策委員会を立ち上げ、毎月1回の会議を持ち病院中の「ヒヤリハット報告」の把握・分析・事前防止策の検討・実施を行ってきた。さらに2002.4.1からは全国に先駆けて専任のリスクマネージャーを置き安全管理対策に力を注いでいる。
 その結果、当院の職員全体の医療事故に対する意識は高揚し、小さな事柄にも問題意識を持ってきている。
これからも「人はエラーを起こすもの」という観点からエラーの発生自体を防止する対策とエラーが発生しても事故に結びつかない対策を職員全体で考え、実施していきたい。






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