この道
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職場紹介18 用度課








“この道”
                                        外来マネジャー  萩原 利律子

 9月の声を聞いたと言うのにいまだ猛暑日が続いている今日この頃、あんなにうるさかった蝉の声もいつの間にか涼やかな虫の音に変わり、密やかに秋の気配が其処彼処に漂っています。あと何日かすれば通勤路の木々もそろそろお色直しの準備が始まることでしょう。季節の移ろいを感じながら通い慣れたこの道をあと何回通るのだろうかと最近つくづく思います。アップダウンとカーブが続く道を、四季折々の草花を楽しみ、時には凍てついた路面に恐怖を抱きながら、事故も無く通うことが出来ました。いつの間にか桑畑が住宅街に変わり、山の一部が削り取られて道路ができ、景色の変化に時の流れを感じます。
 結婚を機にこの病院に勤め始めてから35年、私が入職した当時の病院は富岡厚生病院という名称で七日市にありました。 “チャンスの神様には前髪しかない”と上司の言葉に激励され、同僚と共に色々なことに取り組みました。医療の進歩と共に病院も大きく成長し名称も変わりました。職員が一丸となって病院の新築移転を無事成し遂げた時の達成感は今も忘れられないことの1つです。
めまぐるしく変換して行く社会情勢の波をもろに受けながらも当院は逞しくそのうねりを乗り越えてきました。それは各職種間の壁が無く、1つの目的に向かって協力し合える環境があったからではないでしょうか。10人いれば10の考え方があります。私は、今まで色々な人と出会い、相対して議論する中で解決策や良い方向性が生まれてくることを経験してきました。本音で語り合い助け合える仲間に巡り会えました。
そんな中で、地域中核病院としての役割を果たすための数々の病院事業に一職員として関われたことの幸せを感じています。
看護師の仕事は一時期“3K”や“5K”といわれ後継者への不安を覚えることもありました。今は“人々の健康を守る”という使命感を抱き、若い世代が颯爽と病院内を行き交う姿を見て安堵しています。看護の道を選んで良かったとしみじみ思うのです。
良い時代に良い病院、良い仲間達に恵まれて楽しく仕事が出来ました。仕事を理解し支えてくれる家族がいたから看護師を続けることが出来ました。我が家は8人と5匹の生活から2人と3匹の生活に変わりました。人数が減るのと反比例にガラクタが増えて居住区が狭まり居心地が悪くなってきました。来年の3月に病院を卒業したら、ちょっと一休みして家も自分もリフレッシュしようと考えています。救急車に揺られながらこの道を運ばれないように健康管理に注意して…。

                                         2010年秋 51号


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   シリーズ職場紹介 第18回 用度課

                                             今井 久

 病院の購入物品は、全て地下1階にある用度課の事務処理を経て院内に供給されています。
 薬品、診療材料を始め、米、野菜などの給食材料や医療機器のメンテナンス費用まで含めると年間予算額は27億円に及び、病院事業費の約30%を取り扱っています。物品をより安く買うことで経営収支に直接影響を及ぼす部門です。
 院内の在庫管理・使用期限チェックなど各職場と密接に情報交換を行うと共に、経費に影響の大きい高額な診療材料などは、医師等に直接協力を求め、経済効果が見込まれる結果が得られた場合は、小さなことでも経営トップ陣に書類報告することで、連帯感のある経営努力に心がけています。
 さて、当院は公立病院であることから公正な業者競争も求められます。一例として、米の購入方法をご紹介しましょう。まず、国内産という一条件だけのサンプルを参加業者が用度課に提出します。これを業者名・ブランド名・産地ほか一切情報の無いサンプル袋に、ABC記号だけを表示して、審査チーム(調理師・栄養士ほか)に渡します。審査は、光沢や粒サイズ等の一次審査を通過したサンプルを複数台の炊飯器で同時に炊き上げます。試食した採点結果が用度課に報告され、用度課は、合格したサンプルの最低価格業者と4ヶ月間の契約を行います。その間、サンプルは厳正に保管され随時検品が行われます。この方法には、患者さんに提供する食材の「めきき目利き」が出来る調理師を育て、プロ意識の向上を図ろうとする現場責任者の思いも込められています。
 診療材料倉庫に隣接されている薬品管理室では、常駐する薬剤師の助手として、コンピューターに連動した装置で、入院患者さんごとに仕分けした注射薬を病棟に供給する作業や、院内に配置された注射薬の在庫管理や発注作業を行っています。服薬指導など本来の薬剤師資格を有効に活用できるように、他病院に比べ価格交渉や薬品の物流の多くに用度課が関わっているのも当院の特色です。
 昨今では、まるごと物品管理を業者委託する病院もありますが、長期的には、経費の発生源を他人に任せる結果となり、制御機能を失う結果になると考えます。
 病院では、様々な有資格者が患者中心の医療を目的として、チーム医療の研究をしています。今後も医療現場と連携して、運営努力して行きたいと思います。


2010年秋 51号







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